2018年3月13日、政府は成人年齢を現在の「20歳」から、「18歳」に引き下げる方針の閣議決定をしました。
この法案が成立すれば、これまで20歳以下はできない、もしくは親の同意が必要とされてきたさまざまなことが、満18歳から自分の意志でできるようになります。
中でも物議をかもしているのが、キャッシングなどのローン契約が、18歳で自由にできるようになること。

18歳って、まだ高校生ぐらいだよね。成人が高校生からになるのかあ。
この《18歳成人》については色々な問題点が指摘されてますが、今回は、「成人年齢引き下げによってキャッシングがどう変わっていくのか」について焦点をしぼって掘り下げてみたいと思います。
政府が成人年齢引き下げを決定!その内容は?


成人年齢の引き下げって、最近よく聞くよね。

そうね。日本でも以前から「成人年齢を18歳にすべき」という議論はされていたのよね。
賛否両論のある「成人年齢引き下げ」ですが、政府はこれまでに
・2014年に国民投票権の年齢を(適用は2018年6月20日以降)
・2015年に選挙権の年齢を(実施は2016年6月)
先行して《18歳以上》に引き下げています。すでに布石は打っていたわけで、今回、満を時して成人年齢そのものを引き下げる民法改正案を国会に提出したという流れですね。
2018年3月13日付で掲載された毎日新聞の記事には、以下のように書かれています。
政府は13日、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法改正案を閣議決定した。女性が婚姻できる年齢を現行の16歳から男性と同じ18歳にする内容も含まれ、2022年4月1日に施行するとしている。成立すれば、1876(明治9)年の「太政官布告」で満20歳とされた成人の定義が変わることになる。
引用元:毎日新聞3月13日号
つまり、このままの流れで行けば、2022年の4月1日から、成人の年齢が18歳になるということです。

明治9年の太政官布告…明治時代から変わってなかったのか〜〜。

びっくりよね。
今回の成人年齢引き下げによって大きく変わる点・変わらない点は以下の通りです。
「ギャンブルも18歳からできるようになるの!?」と心配していたのですが、やはり競馬や競艇・競輪などのギャンブルについては成人年齢に関わらず、20歳未満は禁止する方向で調整しているようですね。

でも、パチンコは今でも18歳以上からできるのよね…
これだけ見るとおおむね良さそうな感じにも思えますが、実は問題は山積み。
特に懸念されているのが、
18歳以上なら、親の同意がなくてもキャッシング含むローンやクレジットカードの契約ができるようになる
という点なんです。
18歳以上でキャッシング可能に…何が問題?

なぜ、18歳以上がキャッシングできるようになると問題なのでしょうか。
それには、若者ならではのリスクが挙げられます。
もともと「18歳以上」で融資は可能!?金融機関が未成年に貸したがらないワケ
ぶっちゃけたことをいうと、別に現行の法律でも、20歳以下(未成年)にお金を貸すことが絶対にできないというわけではありません。
ただ、ものすご〜く面倒なのと、ものすご〜く(貸す方にとって)リスクが大きいんです。したがって、金融機関としては「未成年には貸したくない」というのが本音です(笑)。
まず、《ローンを契約してお金を貸す・借りる》というのは、法律行為に当たります。そしてこの法律行為は、未成年は親(または未成年後見人)の同意なしにできないことになっています。(民法5条1項)
つまり、未成年にお金を貸すなら、いちいち親権者や保護者などの法定代理人の許可を得る必要があるわけです。

もし無視して貸したらどうなるの?
その場合は、契約無効として、契約そのものが取り消される可能性があります。しかも、契約が取り消しになった場合、その時点で使ってしまっているお金については契約者側に返還義務はありません。
たとえば、未成年が単独でキャッシングで50万円借りて、40万円を遊びに使ってしまったとします。そのあとで「親の同意を得てないから、無効だ!契約取り消しだ!」となったら、キャッシング会社は現存利益である【50万円ー40万円=10万円】しか返してもらうことはできないのです。全部使いきっていたら、もちろん0円。回収不能です。
さらにさらに、たとえ親の同意を得てお金を貸したとしても、あとで「(未成年者)本人に意思はなかった」と判断されてしまえば、これまた無効にされてしまいます。
これだけ手間がかかる割にリスクだけ超高いとなると、金融機関としては貸したくないという気持ちもわかりますよね(笑)。そんなわけで、ほとんどのキャッシング会社では未成年を最初からNGにしているのです。

結婚していれば18歳以上でも借りれる!?
現行の民法では、男性は18歳から、女性は16歳から結婚できるとされています(20歳未満は親の同意が必要ですが)。
説明したとおり20歳未満は未成年ですが、結婚している場合は成年と同じ扱いになる、とされています。あ、タバコや酒なんかはダメですよ。主に法律行為という点においてです。
つまり、親の同意なしでローンを組むことは法律上可能ということです。
実際、マイカーローンなどでは、婚姻を結んでいる未成年に融資をしているところもあるようです。
でも、残念ながらキャッシングは別。結婚している・していないに関わらず、ほとんどの金融機関は、原則として20歳未満はキャッシングローンの対象外としているため、現在のところは20歳未満の未成年は借りることができません。
【18歳で成年=キャッシングできる】は、トラブルの元?
2018年3月13日付の朝日新聞の記事ではこのように書かれています。
民法上の成人となれば、親などの同意なく契約を結べる。たとえば、一人で携帯電話の契約やローンを組むことなどができるようになる。
これに対し、若い世代が悪質商法などの消費者トラブルに遭いやすくなるという指摘があることから、政府は、恋愛感情につけこむ「デート商法」など被害が懸念される取引について、契約後の取り消しを認める内容の消費者契約法改正案を今国会に提出。さらに、消費者庁や文部科学省、法務省などが連携し、今年4月から高校などで実践的な教育を強化する。
引用元:朝日新聞3月13日号より
今の18歳、19歳というのは、まだ学生の人も多いですよね。
10代で社会に出るのが当たり前だった時代とちがい、同じ年齢でも現在の若者は精神的に未熟なのでは、という意見があります。(この点に関しては20歳でも同じことが言われています)
成人年齢が18歳に引き下げられることによって、判断能力の低い若者が、悪徳業者などにだまされて金銭トラブルに巻き込まれる事態が増える。これが一番不安視されている問題です。
もちろん、キャッシングで無茶な借り入れを繰り返して借金地獄におちいる若者が増えるのでは…という点もかなり強く懸念されているのはいうまでもありません。

僕も、ハタチ前後なんて何も考えないで遊びまくってたもんなー。

ピンチ君は今でもそうじゃない…
これに対し政府は、「デート商法」や「不安商法(わざと不安をあおって高額な商品を買わせる)」などの悪質な契約については取り消すことができる《消費者契約法改正案》を国会に提出。また、若者に対する消費者教育を強化するなどの啓発についても取り組んでいく意向です。

道徳みたいな授業を増やすのかな?
銀行や消費者金融はどう対応?キャッシングの未来

さて、実際に成人年齢が18歳に引き下げられた場合、本当にキャッシングも18歳からできるようになるのでしょうか?予想してみました!
銀行は様子見?すぐには飛びつかないと予想
筆者の予想では、ほとんどの銀行カードローンは対象年齢を引き下げず、しばらくの間そのまま(20歳以上)で様子見をするのでは…と考えています。
なぜなら、銀行カードローンは2018年現在、大炎上中。
消費者金融などの貸金業者に課せられている「総量規制(年収の1/3までしか融資できない)」がないこともあり、ちょっと調子にのって貸し過ぎちゃったことが問題視され、猛批判を浴びているのです。
金融庁の監査や指導も入り、これまでより融資の条件を厳しくするなど、自主規制を強めざるをえない状況になっています。
また、2018年1月から、反社会的勢力への資金流入を防ぐ目的で、審査に警察データベースへの照会作業を導入しており、「しっかり審査して、適正に融資してるよ!」とアピールすることに腐心している様子がうかがえます。

これで、銀行カードローンは即日融資ができなくなったのよね。
この流れの中で、はたして「18歳以上が成年?バンバン貸しちゃえ!」となるでしょうか?

トラブル多発の予感…
でしょう?
そんなわけで、しっかりした対策ができるまで、銀行カードローンでは対象年齢を20歳以上に据え置くのではないか・・・と予想しています。
消費者金融は「18歳以上OK」になる!?
逆に、消費者金融はどうなるか。
私の予測では、法改正後、かなり早い段階で「18歳から融資OK」とするところが出てくるんじゃないかと思っています。
消費者金融はどちらかというと、「条件のあまりよくない人でもちょっとだけなら貸しますよ」というスタンスです。その代わり、高めの金利をとることによって貸付リスクをおさえています(もちろん法律の範囲内です)。

具体的な金利は審査によって決まるのよね。
アルバイトやパートなどにも積極的に融資していますし、これからどんどん借りていってくれそうな若い人は、むしろ歓迎じゃないでしょうか。キャッシング会社にとって、完済せずに長〜く借入と返済を続けていってくれる人はありがたい存在ですから。
ということで、消費者金融は、総量規制に引っかからない範囲なら、金利と限度額で調整して「18歳以上融資OK」とするのではないかとにらんでいます。

もちろん、仕事をして収入があることが前提だね!

そうね。でも、消費者金融は一度「貸しすぎ」で痛い目に合ってるから、意外と慎重になる可能性もあるわね。
モデルケースはアイフルの「SuLaLi」!?
じゃあ、もし18歳以上からキャッシングができるようになったとして、どんな感じの融資になるのかな…と想像した時、まず思い浮かんだのがアイフルの『SuLali』です。
SuLaLiは、アイフルが主に「女性向け」として展開してるキャッシングローンです。(男性でも申し込みできます!)
この『SuLaLi』の条件が、まさに若者にピッタリなんです。
融資金額 | 上限金利 |
---|---|
対象者 | ・満20歳以上 ・定期的な収入がある人 (アルバイト・パートもOK) ※30日間利息0円サービスは初めてアイフルを利用する人が対象 |
金利(年率) | 18.0% |
融資限度額 | 10万円 |
必要書類 | 以下の中からいずれか1点 ・運転免許証 ・パスポート ・顔写真入りの住基カード ・個人番号カード |
特徴 | ・全ての手続きを、WEBのみで行う (アイフルからの電話連絡もなし) ・申し込み時に自分の顔の写メを送信 |
特筆すべきは、
・融資限度額が10万円まで
という点です。
絶妙なのが、この【限度額が10万円まで】という条件。MAXで借りても10万円ですから、知らず知らずのうちに借りすぎて借金が膨れ上がってた…なんてこともありません。10万円なら、本気で返済しようと思えば、1年以内に何とかできます。まさに、お金の使い方が雑になりやすい(笑)若者にはちょうど良い金額です。ネットだけで手続きが完了するのも、若い人には利用しやすい条件ですよね。
金額が低いので金利(年率)は一番高い「18.0%」ですが、これはキャッシング会社側のリスクマネジメントもありますから、仕方ないですね。
また、きちんと返済を重ねて実績を積んでいけば、あとで増額の申請ができるのもポイントです。例えばここを、『20歳を超えたら増額できますよ』とかにすれば、20歳未満の新成人でも申し込みやすくなりそう!

現在、アイフルでは20歳以上しか借りれませんよ!念のため。
…というわけで、もし、今後「18歳以上からキャッシングできる」となった場合には、この『SuLaLi』が一つのモデルケースになるのではないか?と思う次第であります。
まとめ
まだまだこの「18歳以上でキャッシング」に関しては議論が必要な問題ですから、完全に筆者の想像ではあります。
でも、成人年齢が実際に引き下げられれば、キャッシング業界にも色々な動きが出てくるはず。貸す方、借りる方双方にとって、一番良い形ができるといいですね!